五月の空

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ひこうき雲

 

五月がとても長く感じます。

まるでいつまでも終わらないような気さえしてきました。

一年が過ぎるあまりの速さに年ごとに驚くのに、

今年の五月はなぜか時間の流れが遅く感じるのです。

今やっている仕事が苦しいところに来ているせいかもしれません。

 

五月といえばゴールデンウィークと母の日がありました。

そして個人的には祖母の命日と亡母の誕生日がある月でもあります。

 

初めて転職した会社で迎えた五月のある日。

出社した私を訃報が待っていました。

私をだれよりも可愛がってくれた祖母の突然の死でした。

入院もしておらず、どこかの具合が悪いということは聞いていませんでした。

そのまま葬儀に参列するために実家に帰ることにした私を

先輩である男性社員がエレベーターの前まで見送ってくれました。

二人でエレベーターが来るのを待っていると、

彼が私にこう言いました。

 

「おまえがこんなことをしているから、おばあさんは亡くなったんだぞ」

 

こんなこと、というのは私が総合職として入社したことを指しています。

この人は三十代の既婚男性でしたが、私が入社した直後からずっと、

「女はこんな仕事をするべきじゃない。男性のサポートのような仕事をして、

時が来たら結婚するべきだ」

と言い続けてきました。

誤解のないように付け加えておきますが、彼は生真面目で善良な人でした。

本気の善意でそう言っていたのです。

なので私は彼に反感を抱いたことはありません。

価値観の違いとしか言いようがなかったからです。

人前に出たり、会議で発言するのが苦手な彼は自ら望んで事務方に回り、

私の仕事の事務処理やスケジュールの管理までしてくれていました。

とても有能な人で、どんなに助けられたかわかりません。

今でも「いい人」だったと思っています。

 

 

それから数年後に私は両親を相次いで亡くすことになるのですが、

この時も似たような言葉を聞くこととなりました。

父の葬儀が終わり、一人で実家の後片付けをしていた私に上司から電話がありました。

この人は当時の直属の上司で、葬儀では父の棺を担いでくれました。

電話の内容は具体的には書けませんが、無理な要求でした。

どうしても応じられないことは明らかだったので、私は断りました。

話しているうちに相手が激昂していくのがわかりましたが、

私は黙っているしかありませんでした。

すると、彼がこう言ったのです。

 

「君がそんな風だから、お父さんが亡くなったりするんだ。」

 

それまで彼には多くの面でお世話になっていました。

断るのは心苦しいことではあったのですが、どうしようもありませんでした。

私に対する怒りや失望の深さを伝えようとして出てきた言葉だと思います。

それから間もなく私はその会社を去りました。

 

もちろん祖母の死や両親の死の原因が自分のせいだとは思いません。

どちらの場合も死因は私とは全く関係のないことでした。

おそらく彼らは「おまえ(のような人間)は不孝者(に違いない)」と言いたかったのでしょう。

 

GWに帰る場所もなく、母の日に贈る相手もなく、

墓参にも行かない私は確かに不孝なのかもしれません。

 

五月はそんなことを私に思い出させます。