晩夏

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夕焼けがなんだか心にしみた。

 

こねずみたちは台風と共に去っていきました。

来年は絶対に引き受けない、と毎年思うのですが、

いざとなるとなかなかそうはいきません。

たしかに私の生活はボロボロになりますが、

40℃近い猛暑の中、重い荷物を抱えて終電まで都内を駆けまわっている母親たちに

文句は言うことはできませんでした。

 

今、こねずみたちに嫌われて冷蔵庫の中で消費期限を過ぎてしまった食材を

処分しながら複雑な気持ちになっています。

毎年のことながら彼女たちの母親から聞いて好みのものを作っても

食べてもらえないことが多いのです。

好物だと聞いてピザを焼いても、嫌いだと言って食べません。

グラタンを作っても微妙な顔でつつくだけです。

プリンも好きだと聞いていましたが、食べてくれませんでした。

 

本人たちに確認すると、ポテトやマカロニが嫌いだけど、

いつも行くお店のグラタンは好きなのだと言います。

ピザもチーズが嫌いなので苦手だけど、

父親がネットで取り寄せるピザが気に入ったのだそうです。

プリンも好きなお店が決まっていて手作りのものは食べません。

たまたま食べていたのを見て好物だと母親たちは思っているようです。

こねずみたちは呆れたように口を揃えて言います。

「まったくもう!ママったら!いつもチーズは嫌いって言ってるのに。

ホワイトソースは絶対に食べないって言ったのに」

 

私がなんとなく悲しい気持ちになったのは、彼女らの偏食ではなく、

男女共同参画」という名の陰で、

子どもたちにそのあおりがきているような気がしたからです。

これまで10:0だったり9:1だったりした育児への参加が、

女性の社会的地位の安定を目指して5:5を理想とするのはすばらしいと思います。

家庭の中でも外でも5:5が実現されるならこんなに良いことはありません。

しかし、もしかしたら4:4や4:3のように10に満たないことになっている家庭も

あるのではないかと思ったのです。

足りない分はどうなるのでしょう。

子どもたちの中にどういうかたちで蓄積していくのでしょうか。

昔はその分を祖父母が埋めていたのかもしれません。

こねずみたちも日々、過酷な通勤電車にもまれながら通学しています。

二人ともきょうだいがいないので夜になって両親が帰るまで

ひとりで宿題をし、ひとりで遊びます。

食事は外食かデパートのデリで買ってきたものが中心です。

 

彼女たちの両親に愛情がないということはありません。

むしろ溺愛していると言ってもいいと思います。

子どもと接する時間が足りないことをよくわかっていて、

せめてお金で購えるかぎりのもので埋めようとしています。

だから誰も責められなくて、なんだかやりきれない気持ちになります。

 

こねずみたちは毎年この家に来ることをとても楽しみにしているといいます。

夏休みが近づくとカレンダーに丸をつけ、前夜は眠れないほどだそうです。

 

ちなみに彼女らが笑顔で親指を立て、「また作ってね!」と言ったのは

「ひじきの煮もの」と「ツナとキャベツの揚げギョーザ」でした。

 

また来年も引き受けちゃうんだろうな...